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最近では専用のキットに唾液を入れて送るだけで手軽に遺伝子検査が行えるようになりました。
大学病院などでも遺伝子外来のある病院が増えてきています。
まだ件数としては少ないですが、診療所でも遺伝子検査を行っている診療所が増えつつありますね。
大学病院などを除き、ほとんどが検査会社に委託をしての遺伝子検査かと思います。
一口に遺伝子検査といってもいろいろありますが、ここでは遺伝子検査の結果が確定診断に繋がる場合について考えていきたいと思います。
例えばAという疾患の可能性があるとして、確定診断をする為に、多くの診療所では遺伝子検査の可能な大学病院へ紹介をするか、検体を検査会社に送って遺伝子検査を行うかと思います。
検査会社に委託をした場合、所用日数は検査内容にもよりますが概ね1週間以上かかるケースが多いかと思います。
私自身具体的な日数について聞いたわけではなく、臨床の先生より
「検査結果を早く知りたいけれど日数がかかる」
「何日かかるか分からないから困っている」
というお話を伺ったので結構日数がかかっていて早く結果を知りたいけれど困っているという現場の声を聞いたに過ぎませんが…。
ちなみに、検査会社で遺伝子を扱う部署にて実際に検査を行っていた際には午前中に届いた検体を大体4時間〜5時間程かけて血液からRNAの抽出作業を行なっていました。
検体数が少なければそこまで時間はかからないのですが、私が行っていたのは手作業で大体40検体程の抽出を行なっていましたのでどうしても時間はかかります。
抽出が終わった後、まだ長い検査工程があるのでやはり時間はかかるのかと思います。
確定診断をつけるための遺伝子検査は出来る限り早く結果が欲しいというのがやはり現場としては思うところかと思います。
診療所内で遺伝子検査が出来たらどうなのか?
そのようにお考えになる先生もいらっしゃるかもしれません。
出来るか否か、手続き上に関して言えば出来ます。
保健所にて確認をしたところ、医療法上では現状規定はなく、特別な手続きを行う必要もないそうです。
ただ、厚生労働省の医政発0810第1号の「医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う厚生労働省関連省令の整備に関する省令の施行について」により、遺伝子検査を行うにあたり責任者を定める(兼任は可能なので院長先生のお名前で可能)、標準作業書及び作業日誌又は台帳関係の作成などが必要となります。
また、設備に関しても独立した検査室は必要です。
診療所内で遺伝子検査を行うとした場合、遺伝子検査にはそれなりに長い検査工程がありますが、診療所内で行う場合にコスト等も考え、どこまで行うか?を考える必要があります。
ここでは私が行っていた特定の遺伝子の変異を見つける解析を例に挙げて必要機材等について説明をします。
例えばDNAの抽出まで行うなど。
検査会社にいた際にも時々見かけましたが、採血された血液が溶血していたりすると検査を行う際にDNAの回収率が悪くなる等の事もありました。
院内で採血した血液からDNA抽出を行う場合に必要になる機材は遠心分離機とヒートブロック程度となります。
遠心分離機は採血管を入れて遠心するものとエッペンチューブを遠心するものの2台が必要となります。
DNA抽出にかかる時間は1検体でしたら1時間かかるかかからないかです。
抽出後は4℃で保管します。
では、DNAの塩基の波形を解析するシーケンスまで行う場合。
こちらは検査回数が少ない場合にはコストの方が高くついてしまうかと思います。
PCRを行うためのサーマルサイクラー、シーケンスを行うためのシーケンサーが必要になる為です。
サーマルサイクラーは大体50万程度です。
たまにキャンペーンなどで40万程度で買える場合もあります。
シーケンサーの方がかなり高額になります。
メーカーにもよりますが100万以上です。
更に定期的なメンテナンス等も必要となります。
こちらは抽出→PCR→精製→PCR→シーケンス→波形の解析
という流れになります。
実際に私が検査を行った際には最短で3日でした。
解析だけを行なってくれる会社もありますので、例えばサーマルサイクラーのみ購入して解析前のsample調整までは診療所で行い、シーケンスは委託するという方法もあるかと思います。
解析だけであれば24時間以内に報告可能という会社もあります。
シーケンス前のsample調整までにかかる時間としては概ね2日くらいです。
いかがでしたでしょうか?
診療所内で遺伝子検査を行う事は可能です。
早く確定診断をつけたいケースが多い、遺伝子検査を診療所内で出来たら…とお考えの場合には検討してみるのも良いかもしれません。
行政書士のぞみ事務所の代表である私は元々は遺伝子を扱う技術員でしたので、このようなご相談にも対応する事が可能です。
実際に診療所内で遺伝子検査を行う事にしたものの、スタッフに技術面でのレクチャーを教えて欲しい等の技術指導のサポートも行なっております(実験機器の使用の仕方及びDNA抽出〜キャピラリーシーケンスで行う遺伝子検査のみの対応となります)
手順書の作成もこちらで行うことが可能です。
診療所内で遺伝子検査をご検討されている場合はお気軽にご相談ください。
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