当ブログへようこそ!
超高齢化社会とされる昨今、ある日家族を介護する事になったものの、こんなにも大変だとは思わなかったと感じる事も多いのではないでしょうか?
介護ストレスから虐待に繋がるケースも多々あります。
介護する側にも介護される側にも想いや感じる事は多々あります。
よく、仕事で介護をやっているから家族の介護も出来るだろうと思われがちなのですが、実はそうでもなかったりします。
もちろん、仕事でも家族でも出来るという方もいらっしゃるでしょうが…。
私自身も、仕事での介護はそこまで頭を悩ましたりする事もなく何かあっても仕方ないとかで済んでしまっていましたが、いざ家族となるとやはり違うなと思います。
頭では分かっていてもそこに家族ならではの感情が入ってしまうからですね。
家族の介護で多いお悩みの1つに言うことを聞いてくれない、何度言ってもやめてと言った事をされてしまうというものがあります。
認知症などですと、また変わってきますが今回は認知症ではなく認知機能は低下はしているものの割としっかりしているケースでの例を挙げてみたいと思います。
【介護をされる人 A】
80代女性、家族と同居。旦那は死別。
杖での歩行は可能であるが過去に大腿骨を骨折し手術をしている。
高血圧、糖尿病を患っている。認知症なし。
【介護をする人 B】
50代の娘。
週3日パートで勤務している。
大腿骨の手術後、リハビリの効果もあり杖歩行が可能となったが、次に骨折をし場合には車椅子生活になる可能性があると医師には言われていました。
また、糖尿病により血糖値のコントロールが悪くHbA1cという過去1〜2ヶ月の血糖値を反映する検査の結果も正常値よりも3%も高く血糖値のコントロールが必要です。
自宅は2階建の庭付き一軒家、Aは庭いじりが好きでよく庭の草木の手入れや草むしりをやっています。
杖歩行ではあるが、手術後の経過はとても順調で近所であれば買い物に出かける事も可能です。
Bは何でもかんでも手を貸してしまっては動けなくなってしまうと考え、自分で出来るコトはなるべく自分でするようにとAに伝えていました。
しかし、2階の階段を上ることは万が一階段から落ちたりして骨折でもしたら今度こそ車椅子生活になるかもしれないので絶対に登らないように伝えていました。
また、庭いじりも平らな場所であれば構わないが段差が大きい場所や足場の悪いところは怪我をしたら大変なのでやらないようにも伝えていました。
加えて、血糖値が高い為甘いものはなるべく避けて3食の食事をきちんと取るようにも伝えていました。
しかし、Bはまだ昔のように動けると感じている事もあり、Aの言うことを聞かず足場の悪い場所での庭木の手入れや段差のある場所での草むしりなどをやっていました。
おまけにAはあんこが大好きでご飯にあんこをかけて食べたり、Bが仕事で不在中に近所のコンビニに出かけてはあんぱんを買ったりして隠れて食べていました。
それらのAの行動を見かけるたびにBはそれは怪我をするから、血糖値が高くなってしまうからやめるように伝え続けました。
しかしAは庭いじりは自分の仕事だと思っておりましたし、好きな物を食べたいと思っていましたのでやり続けました。
このようなやり取りが数ヶ月も続き、AはBに見つかるとやめろと言われる事が分かっていたのでBが不在中にそれらをやるようになりました。
ある日、Bが仕事で不在中に足場の悪い場所で庭いじりをしていたAは足を滑らせ転倒しました。
たまたまBの娘が高熱を出して仕事を休んでいました。
窓の外から祖母の呼ぶ声に気付いた娘は何事かと思って庭を見ると、足場の悪い場所でうつ伏せに倒れ、岩と岩の間に片足が挟まったままの状態で倒れている祖母を発見しました。
すぐさま駆けつけ、何とか起こそうと試みましたが、下手に動かしては昔骨折して手術をした方の足に何かあっては困ると考え、救急車を呼びました。
娘から連絡を受けたBは仕事を早退し、慌てて搬送先の病院へ行きました。
幸い大きな外傷はなく入院にもならずに退院する事が出来たのでホッとしたBでしたが、自分が不在の時にAがコッソリ庭いじりをしていた事を知り、やめるように言いました。
更に、それがキッカケになりAがB不在中にコッソリ近所のコンビニへ行って和菓子を買っていた事、茶箪笥の中に大量に和菓子が隠されていた事を知ることとなりました。
Bは再度やめるように伝え、お菓子はせめて1日1つだけにするように伝えました。
しかし、Aは今度はほとんど動かなくなりました。
動かなければ筋力はどんどん低下してしまい歩けなくなってしまいますのでBはせめて庭の平らな場所や室内で歩くくらいはするように伝えました。
この頃になると、AはBに何かを言われると黙り込むか言い訳をするようになりました。
そんなある日、大きな物音がしたのでAの寝室へ向かうとAが床に仰向けになったまま起き上がれなくなっていました。
話を聞くと、押入れにあった座布団を出そうと不安定な椅子の上に登り足が滑り落ちたそうです。
幸い大きな怪我はありませんでしたが、何度言っても聞かないAに対しBは我慢の限界に達していました。
BはストレスからAの顔を見るのも苦痛になっていきました。
必要な物は買ってくる、食事は用意する、通院にも連れて行く、しかしAとBはほとんど会話をしなくなりました。
Aが話しかけてもBは必要最低限の話しかしなくなりました。
そのようなBに対しAは放っておかれていると感じるようになり、何か用がある時はBに直接言わずBの娘に伝えるように言うようになりました。
どうでしょうか?
言うことを聞かないAに対しBのストレスが限界になりAとBの関係が悪化した事例です。
このケースでは、まだ介護放棄や虐待にまでは発展していませんが、ケースによっては介護者の介護ノイローゼや、虐待に発展してしまう場合もあります。
特に1人で介護を行なっており、誰にも話を聞いてもらえなかったり、誰にも愚痴を言えなかったりする場合には虐待やノイローゼに発展してしまうケースが見られます。
このケースにおいてAがBに隠れてまで庭いじりをしたりしたのは、それがAにとっては生きがいであったり自分の役割だったり、自分の生きる意味のような役割だったからかもしれません。
BがAに対して何かとやめるように言ったのはAが動けなくなっなてしまわないように、Aの体調を考えての事でしたが、Aにとってはそれは自分の役割や楽しみをやめろと言われていると感じてしまったのでしょう。
A.Bともに考えがあっての事であり想いがあっての事でしたが、その想いや考えをお互いに理解し合えず、お互いがお互いの主張ばかりをする形になってしまった事からの結果が必要最低限の関わりになってしまいました。
このような介護の悩みは最近本当に増えています。
介護カウンセリングでは、介護される人と介護する人、両方のお話を第三者がしっかりお伺いし、双方の気持ちや考えを伝えた上で最良の形を目指して支援を行っていきます。
介護にお困りの方は1度カウンセラーにご相談されてみるのも良いかと思います。
コメント